ダランベールの原理

ここではダランベールの原理について説明します。ダランベールというのは人の名前です。

この原理では、動力学の問題は静力学の問題に帰結できるという原理です。動力学とは、加速度を持っている物体を記述する力学、静力学は加速度を持っていない物体、すなわち”釣り合いの状態”にある物体を記述する力学です。

この2つの力学系における運動方程式は大きく異なっています。動力学における運動方程式は次のように書けます。
mfrac{d^2 {bf x}}{dt^2}=F_1+F_2+F_3
今、たくさんの力が働いている場合を考えています。静力学に対しては次のようになります。
0=F_1+F_2+F_3
動力学の運動方程式と静力学の運動方程式とでは左辺の形が大きく異なっています。

しかしながら、動力学の運動方程式において、左辺を右辺に移項するだけで、静力学の運動方程式と同じ形にすることができます。
0=F_1+F_2+F_3-mfrac{d^2 {bf x}}{dt^2}
このとき移行した項を、一種の力だと解釈して、これを”慣性力”呼びます。このようにすると、動力学の問題を静力学の問題に帰結することができます。

ここまで見ると、単に移行しただけだと思われてしまいますが、これは”動力学と静力学の問題を区別する必要がない”という重要な結論を導きだします。すなわち、動力学の問題はより単純な静力学の問題を解くことに帰結されるということです。

ここでもう一つ重要なことは、”帰結する”という考え方です。つまり、既に解法が分かっている問題に置き換えることができないかと考えることです。物理、数学、あるいはもっと広く科学という営みは、帰結できるかどうか、既に分かっているより簡単な問題に帰結できないかと考えることでもあります。いかにして帰結できるか、という考え方が非常に重要になります。

ダランベールの原理とは、動力学の問題を静力学の問題に帰結できるというこを示すものです。大変便利で有意義な原理です。またこの帰結という考え方が非常に重要な考え方ですので、しっかり頭にとどめておいて頂きたいと思います。

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